トモさん 海外ブルベ挑戦:海外ブルベを安全に走りきるために
2017年 12月 10日
これに関連してトモさんから一文を寄せていただいています。海外ブルベだけでなくごく普通のサイクリングでも示唆に富む内容だと思います。
今回のSMA1200でもライダーの死者が出たことはお伝えしました。
自己責任のスポーツであるブルベは常に危険がつきものですが、死んでしまってはシャレになりません。生きて帰るためのポイントが必ずあるはずです。今回はその点に焦点を当ててみました。
やはり寝不足がリスクを格段に上げてしまいます。最低3時間の睡眠は確保したいものです。
例えば0時にオーバーナイトコントロール着、食事、シャワー、翌日の準備をして、1時に就寝、4時半起床、明け方の5時スタートというリズムで走れれば、かなりの確率で完走できますし、危険も少なくなります。
そのためにはどんなコースでも、18時間以内で走りきる走力が必要ですが、それがなかなか難しい(笑)。例えば、今回の最難関の2日目のコースは、315kmで累積標高は+4800mですが、私の走力では到着は3時近くになっています。
これを各区間のAveスピードを1km/h上げると午前1時半。2km/h上げると0時に着くことができます。(もう一つは1日目を頑張って早めに着き、3時スタートという選択もありですね。)
十分な走力を持つライダーがパックで走る場合は別にして、並みのライダーならコースを読み、自分の力に見合う行動計画を立てることが大切です。併せてこのコースにチャレンジするなら1km/hでも平均スピードを上げるトレーニングが必要ですね。
今回の亡くなったオーストラリアのベテランライダーは深夜のP3Walgal Hut先の夜の下りで(舗装されていない砂利道 ”no surface”ってやつです)自損か動物との衝突による転倒が原因といわれています。
海外ブルベ(特にアメリカ、オセアニア)は荒れた大自然の中を走ることも多く、夜間に動物と遭遇する機会も増えるので、単独の夜間走行のリスクは格段に上がります。また、チエックポイントも常識を超えた地点に設定されていることもあります(教訓:地元には地元のルールあり)。
今回のP4のチェックポイント、マクファーソンは、コースを外れ狭い急勾配のダート約2.7kmを上り、小さな山小屋でチェックを受け、Uターンして同じ道を下り、コースに戻るというものでした。
(夜間の単独の下りは危険だということで、ライダーをまとめて、大会関係者の車で先導するという対策がとられました。)
それ以上に疲労が極限に達して起こるのが幻覚や幻聴です。この時は集中してるので不思議と眠気は感じることが少ないのですが、脳疲労の限界はとうに過ぎています。棺桶に半歩以上脚をつっこんだ状態ですね。本来ならばこの時点でDNFを覚悟すべきですが、ゴールまでもう少しって時はこれがなかなかできないです。一時的には ポップな音楽を聴くと幻覚が消える時もありますが、その効果も1時間くらいか? 先の道路にいろんな障害物が現れ始めると超危険な状態です。だって脳はもう寝てるのですから。
海外ブルベの無事生還のポイントはまとめると
・絶対に無傷で帰るという強い意志をもつ
・決して諦めない気持ちは大事だが、諦めるとこは潔くDNFする
・夜間の単独走は避け、走力のあったライダーとグループで走る
・遅いライダーほど単独走になりやすいので、グループについていける走力をつけておく(難しいが)
・0時までにゴールという目標でコース研究と行動計画を立て、自分の走力に見合うものへの参加に留める。
(・その他に、胃腸障害は即DNFにつながる、体幹を冷やさない 吐いたり、心の冷静さを失ったらDNFする)
・日本ではお目にかかれないタフなコースが多く、完走した時の達成感と高揚感が半端ではない
・現地のライダーが苦心して作ったコースは、旅行では経験できない冒険旅ができるし、思う存分大自然の中での ライディングを楽しむ?ことができる
・参加人数が数十名規模なので、世界中のライダー同士顔見知りになり、現地で再会を祝い&愉快な酒が飲める
・いずれ訪れる気ままな海外の自転車旅をするためのさまざまなスキルを学ぶことができる
参考)来年の海外ブルベのリストが早くも掲載されています。世界中で約60近くのオーバ?1200kが開催されます。
来年はどこにチャレンジしようかと悩む師走です(苦笑)。
とも
by nambei
| 2017-12-10 10:00
| That's cycling!!